BNP Paribas デビスカップ2007 ワールドグループ・プレーオフ『日本 対 ルーマニア』 :デビスカップ記事

2007年9月23日

遠かった、あと1勝。鈴木、添田が連敗し、日本敗れる

第3日 シングルス3 (Rubber4)
  • アンドレイ・パベル
  1. 6-7(6)
  2. 6-7(1)
  3. 6-1
  4. 6-4
  5. 6-4
  • 鈴木 貴男
×

鈴木は最初から飛ばした。相手はワールドクラス。「最初からエンジンをかけなければ、彼にはかなわない」という判断だった。「(最初から飛ばして)少しでも相手の自信をなくさせること、頑張ろうという気持ちをそぎ落とすこと」を考えた“先行逃げ切り”作戦だった。

ただ、それは、疲労という敵を背負いながらの猛ダッシュだった。単複で3試合目の鈴木。初日のシングルスで見せたサーブの威力と精度、ネットプレーの正確さは見られない。ファーストサーブの確率も、55%。組み立てや駆け引きを駆使し、ぎりぎりのところでポイントをもぎ取っていく試合運びだった。第1セットは1ブレークダウンの1−4から挽回し、タイブレークを制した。第2セットは2度のブレークダウンをそのたびに盛り返し、やはりタイブレークでもぎ取った。経験と技術を出し尽くした、素晴らしい2セットだった。ここまでの経過時間2時間5分。ツアーならストレート勝ちだが、これはデ杯。鈴木は、経験豊富なパベルから、なんとかしてもう1セット奪う必要があった。

第3セットは、あっさり1−6で落とす。鈴木は肘に張りを覚え、サーブのフィーリングを失っていたという。第4セットに入るところでメディカルタイムアウトをとった。マッサージを受け、徐々に調子が戻ったが、本来の出来からはほど遠い。疲労は肘だけでなく、全身の動きを鈍らせていた。サービスでフリーポイントを奪いリズムに乗る、いつもの自分のプレーができない。

最後のエネルギーを振り絞ってサービスをキープし、相手のサービスゲームでワンチャンスにかける。それが鈴木に残された唯一の作戦だった。しかし、第4セットは2−2でサービスダウン。ファイナルセットは4−4で迎えた第9ゲームでサービスを落とす。最初のマッチポイント。パベルは最大の武器であるバックハンドのダウンザラインを決め、3時間54分の戦いにピリオドを打った。

2セットダウンの場面では「1ゲーム1ゲームだ、と思っていた」とパベル。チームの窮地を救ったヒーローは、満足感に包まれているようだった。鈴木の攻撃的なテニスに苦しめられたエイドリアン・マルク監督は「厳しい戦いになるとは予想していたが、鈴木のプレーはそれ以上だった。彼のランキングとはかけ離れた素晴らしいプレーだった。最後はパベルの経験と自信が上回ったが、去年のデ杯(米国−フランス戦)でのロディックとグロジャンの試合を思い出した。」と賛辞を送った。

鈴木は悔しさを押し隠して会見に臨んだ。「パベルとやるのであれば、あれくらい最初からテンションを上げないと逆に2セットダウンになっていただろう。ある程度、ガス欠は仕方ないことだと思う」。痛恨の逆転負けだが、自分が選んだ戦術、自分が見せたプレーに対する自信までは失っていなかった。

日本テニス協会広報委員会委員・フリーライター 秋山 英宏

第3日 シングルス4 (Rubber5)
  • ビクトル・ハネスク
  1. 6-3
  2. 5-7
  3. 7-6(6)
  4. 7-6(3)
  • 添田 豪
×

死闘だった。2勝2敗で迎えた最終戦。添田は持てる力のすべてを振り絞って格上のハネスクに挑んだが、善戦むなしく惜敗。85年以来の日本のワールドグループ復帰はならなかった。

第1セットは第4ゲームでハネスクがブレークして6-3。第2セットは第12ゲームで添田がブレークし、7-5。試合はキープ合戦で、1ブレークを争う緊迫したものとなった。

第3セットに入っても双方譲らずタイブレークへ。「技術的に劣っていたとは思わないが、経験やメンタルの差が出てしまった。重要なポイントで相手によいショットを決められてしまった」と添田が振り返ったとおり、試合を分ける局面でサーブやストロークを正確にコントロールしたハネスクが、このセットを僅差で制した。ハネスクは第4セットのタイブレーク前にはけいれんでトレーナーの処置を受けたが、最後まで勝利に対して強い執念を見せ、このタイブレークも7-3で制し、ゲームセット。

この勝利によりルーマニアはワールドグループ残留が決定。「ハネスクは第2セット、いくつかのチャンスを逃してピンチに陥ったが、その後は運も味方してくれたおかげで勝つことが出来た。デビスカップは特別な大会。選手はいつも以上の力を出してくる。今回の勝敗を分けたのは経験と勝利への意欲の差」とはマルク監督。

日本はホームの声援をバックに大健闘を見せたものの、結果に結びつかなかった。世界のヒノキ舞台がそこまで見えていただけに、なんとも悔しい敗戦になってしまった。

日本テニス協会広報委員会委員・フリーライター 成瀬悦朗

竹内映二監督コメント

「ルーマニアのすごさは精神力。かなりのストレスがかかっていたはずだが、最後まで闘志を失わず、スピリットを見せた。敗戦の要因はいくつかあるが、(技術的には)サービスとそれをフォローするグラウンドストロークの正確さ。ここに差があり、かなりのポイントをルーマニアの選手に支配された。我々のゲームが、もっと力強いものになっていかないといけない。

どんなタイミングでチームに入れるかはまだ分からないが、近い将来、錦織圭がチームに入る。今の選手たちと若い力のコラボで、お互いが影響し合うチームを作り、若い選手を引き上げたい」

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